【天声人语】消えた棟方志功

消えた棟方志功

不翼而飞的栋方志功版画

 2017年04月19日

重病の息子と静かに暮らしたい一心で、腕に自信の画家がモネの名画の贋作（がんさく）を描きあげる。ボストンの美術館に忍び込み、展示中の真作とすり替えてしまう

一位对自己的画技很有自信的画家，由于一心想要和重病的儿子一起过平静的生活，于是他伪造了一幅仿莫奈名画的赝品。并且潜入波士顿的美术馆，替换了展馆中的真品。

▼昨年、日本で公開された米映画「ザ・フォージャー」である。画家をジョン・トラボルタが演じた。偽作は色調、筆遣いまで本物そっくり。犯行後も美術館は被害に気づかないままだった

这是去年在公开上映的美国电影《 伪造者 》中的片段。约翰·特拉沃尔塔(John·Travolta）扮演了一位画家。假画从色调到笔法都酷似原作，所以真画被调换之后美术馆也并没有发现异常。

▼神奈川県が所有する故棟方志功（むなかたしこう）の版画作品が消え、カラーコピーされた偽物にすり替えられる事件が起きた。１９７５年の県民ホール（横浜市）落成にあわせて、県が３００万円で制作を頼んだ

发生了神奈川县所藏栋方志功版画凭空消失，被偷换成了彩印的赝品的事件。在1975年县民会馆(横滨市)成立时，神奈川县花费300万日元邀请栋方志功先生创作了这幅画。

▼３年前、県立近代美術館で作品を一般に公開した際、美術に詳しい来館者から「レプリカ（複製）ではないか」と指摘を受けた。額を外して偽物と気づいた担当者の動揺がありありと目に浮かぶ

3年前，在县立近代美术馆公开展示作品时，来馆参观的一位了解美术的参观者指出：“这这不是仿制品吗？”后，工作人员取下裱框，发现是仿制品时的表情至今都历历在目。

▼「二つの絵を並べて、どっちが本物でどちらが模写か、見極められる批評家など、一人もいやしない」。２０世紀半ば、フェルメールの名画の贋作で名をはせたオランダの画家メーヘレンの言葉である（フランク・ウイン著『私はフェルメール』）。これまで世を騒がせた紛（まが）いもの事件で、主役はたいてい屈折した画家だった

20世纪后半期，因模仿画维米尔的名作而出名的荷兰画家米格伦说·“把两幅画放在一起，没有一个评论家能够分辨出哪个是真品，哪个是仿品。”(弗朗克·文所著《我是维米尔》)，迄今为止，轰动社会的赝品事件中，犯案者大部分都是心理扭曲的画家。

▼それらに比して、コピー機で複写するという今回の手口は、安直すぎていささか拍子抜けする。本物は和紙に刷られていたが、見つかった偽物は普通紙だった。すり替えた際、上下逆さまに台紙に貼ったのは動転したせいか。いったい誰の仕業か。本物はいまどこにあるのか。

与此相比，这次使用复印机复印的犯罪手段，就显得太没水平，让人有些扫兴。真品是印刷在和式纸张上的，而被发现的仿制品用的是却普通纸张。或许是因为作案者在调包的时候太过慌张了吧，仿制品被上下颠倒地贴在了衬纸上，到底是谁干的？真品现在又在何处？